京大が糖尿病悪化原因のタンパク質を発見

英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」がこのほど発表したところによると、
2型糖尿病の悪化の原因となるタンパク質の1つを、京都大ウイルス研究所の増谷弘准教授や大学院生の吉原栄治さんのグループが突き止めたとのこと。

本来は「飢餓状態」で働くべきタンパク質が、さまざまな原因で「飽食状態」でも過剰に働くことが原因とみられ、このタンパク質の働きを抑えることが、2型糖尿病の治療につながるとのこと。

 血糖値を下げるインスリンの分泌量や効きやすさが低減する2型糖尿病は、国内に約700万人の患者がいる。発症の主な原因は、脂肪細胞から多く分泌される「生理活性物質」が、インスリンの働きを抑えることと考えられている。

 増谷准教授たちは、インスリンの働きを抑えるタンパク質「TBP-2」が働かない肥満のマウスを作製。肥満だけのマウスは糖尿病を発症するものの、今回作製したマウスは、脂肪細胞から生理活性物質が多く分泌されていても、インスリン分泌量や効きやすさが通常のマウスとほぼ同じレベルで、糖尿病を発症しなかったとのこと。

 増谷准教授は「TBP-2は、歴史的に飢餓にさらされることの多かった人類で、血糖値を上げるために働いていたと考えられる。それがさまざまなストレスによって不必要な状況で活性化してしまい、糖尿病を悪化させているのではないか」とコメントしている。