5 糖尿病の予防
糖尿病の予防のポイント
糖尿病予防の一番ポイントは、肥満を防ぐことです。
平成9年に厚生省で実施した糖尿病実態調査によると、一番太っていた時期の体重が重い人ほど、糖尿病にかかりやすいということがわかっています。
肥満はインスリンが効きにくくなります。軽度の体重減少でも糖尿病予防に効果的といわれているので、糖尿病予防は肥満の予防と受け止めるのがよいでしょう。
肥満であるかどうかはBMIという指標を用いて行うのが一般的です。
BMI=体重Kg ÷ 身長m ÷ 身長m で算出できます。この値は22が一番病気にかかりにくいとされています。
肥満にならないためには、栄養バランスのとれた食事、適度な運動という、いわゆる「健康的な日常生活」を送ることが基本です。
これは、糖尿病の予防だけでなく、様々な生活習慣病を防ぐことにもつながります。
糖尿病と痴呆症(認知症)の意外な関係
2002年の医学会機関紙によると、
スウェーデンのある病院の検査によれば、痴呆症(認知症)障害を持っている高齢者の過去の病気を調査したところ、6割以上が過去に糖尿病であったことが判明。
糖尿病患者全体の何割が痴呆症になりやすいかまでは解らないが、非糖尿病患者より痴呆症になりやすいと言える。
つまり、糖尿病を早期に発見することは将来痴呆症になる可能性を把握することが出来るし、糖尿病予備軍と呼ばれる人は、糖尿病を予防することが痴呆症の予防にもつながるとも言えるのである。
糖尿病予防にコーヒーの話
糖尿病の予防は血糖値が上がらないよう、カロリーの低い食事をとる、適度な運動をするなどありますが、
コーヒーを多く飲む人が糖尿病になりにくいというデータもあります。
米国、日本、オランダなどで研究されたようですが、その秘密はカフェインにあるようです。
よく、「運動前にコーヒーを飲むと脂肪が燃えやすくなる」と言います。
米国の研究では、カフェインの入ったレギュラーコーヒーを多く飲む人は、喫煙者が多く運動不足気味にもかかわらず、肥満率は平均並みで糖尿病の発症率が低かったというデータが出ています。
コーヒーは糖尿病予防に効果が期待できそうです。
糖尿病予防の基本は○○
糖尿病予防には健康的な生活が大切です。
一概に健康的な生活といっても、漠然としてます。早寝早起き、規則正しい食事、適度な運動・・といったところでしょう。その中でも特に糖尿病予防の基本となるのは食事です。
まずは、自分が一日にどれだけのエネルギー量が必要かを把握します。
身長(メートル)を二乗し、22をかけて標準体重を出します。
これに、作業強度(サラリーマン・主婦など軽労働なら30、動きの少ない高齢者は25、重労働者は40)をかけます。
糖尿病患者はこれのエネルギー量が上限となります。
これを一日3食、均等にとることが理想です。
また、栄養のバランスにも気を付ける必要があります。
炭水化物60 脂質25 タンパク質15 の割合は黄金比と呼ばれています。
どの食材がどれだけエネルギー量があり、どの栄養素が含まれるのか。
これは日本糖尿病学会が市販している「食料交換表」が参考になります。あるいはインターネット上で検索すると参考になる情報は見つかることでしょう。
病気の有無にかかわらず、運動のするしないにかかわらず摂るのが「食事」この基本をしっかり押さえ、運動量や睡眠を改善し、糖尿病を予防しましょう。
糖尿病になりやすい人
厚生労働省のホームページでは、糖尿病についてマスコットキャラクターを用いてとてもわかりやすく解説しています。
その中で、糖尿病になりやすい人についても言及があり、次のような掛け合いになってます。
Aさん 太っていると、糖尿病になりやすいのか?
Bさん そうなんだ。平成9年に行われた「糖尿病実態調査」でも、今までに一番重かったときの体重が重い人ほど、糖尿病にかかりやすいことがわかっているんだよ。
Aさん 肥満かどうかはどこで区別するんだ?
Bさん 肥満の基準には、BMI(ボディー・マス・インデックス)という基準がひろく使われているんだ。これは病気が一番少ない体重を、統計的に割り出したものだね。BMIが22のとき、最も病気が少ないんだよ。
やはり肥満は禁物。痩せていてもストレスなどの環境的要素や遺伝子的要素で糖尿病になる人もいますが、基本は肥満予防が糖尿病予防となります。
糖尿病とメタボの関係
糖尿病とメタボはどちらもインスリンが効かないという共通点あります。
「インスリン」は膵臓で作られ、糖を細胞内に取り込みエネルギーにするホルモンです。これが働かなくなる、つまり糖を利用できなくなることにより、血糖値が上がって糖尿病を発症。また、高血圧の助長、中性脂肪の増加というメタボの原因もつくることになります。
「メタボは糖尿病予備軍」と言われていますが、それはメタボを放っておくと、やがては糖尿病へと移行する可能性が極めて高いためです。
また、初期の糖尿病もメタボも自覚症状がないことも共通しています。空腹時血糖値をチェックして、警戒することが大切です。
糖尿病では126mg/dl以上
メタボでは110mg/dl以上が「危険区域」